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2005年11月09日
「ポルシェ911の誘惑」クルマ考
クルマを乗り換えようと思ってる訳でもないし、911が欲しいという訳でもない。久しぶりに昼間の快晴ドライブに出かけて、たくさんの変わったクルマを見たせいもあるかも知れない。久しぶりに押入れから引っ張り出したこの本はクルマ好きのミステリー作家である島田荘司さんが80年代後半「日本版カーアンドドライバー」誌に数年間連載していたフロントデザインというエッセイをまとめたものです。タイトルからこの本を911について書かれたものやミステリーと勘違いした人も多かったようですが、それはカードラの連載を知らない世代なのかもしれない。もちろん愛車911の自慢話も書いて無いし、それに911の解説本だったら島田荘司さん作でもきっと買わなかったな(笑)
主な内容はというと当時、既にカードラで読んでしまっているけど、著者が各国のクルマやそのクルマ事情を主観を交えて書いたもの。20年も前の話は現在と合わないところもあるが、少しでも当時のクルマの名前と形を知ってれば十分楽しめる内容である。また、「タクシーへの提言」など当時から決して進歩していない都内のクルマ事情は今でも共感できるし、クルマに興味が無くても読み物として面白い。トヨタがGMを抜いて利益世界一になった今、著者はどう思うか聞いてみたい。
「ポルシェ911の誘惑」 1989年講談社 ¥1,000- ISBN4-06-204180-4
1948年広島県出身 武蔵野美術大学卒「名探偵・御手洗潔シリーズ」は著名
1948年広島県出身 武蔵野美術大学卒「名探偵・御手洗潔シリーズ」は著名
恐らく、「クルマは良くもなったが、入れ物だけで中身は旧態依然で何も変わっていないじゃないか」と言うと思う。さてと、この本を今さら読み返して思ったことは、各国のクルマ事情も面白いが「ドクター・ポルシェ小物語」というポルシェ博士の少し長い話にある。
ダィムラーのエンジニアで成功したポルシェは小型高性能車開発を反対されダィムラーを辞める。そこで...(略) さらにはクアトロを作ったAUDIの統率者・VWグループの元総帥はポルシェの孫だったりもする。
という話で、そのためMercedes,VW,AUDIとドイツ自動車メーカーはポルシェと血縁関係にあり、今でもドイツ車はポルシェの設計思想の延長上にあるのかもしれない。それは何となく江戸幕府や天皇家に通じるものがあり、だから日本人は無意識にもドイツ車を受け入れ易いのかもしれない。
PoloやLupoのシンプルなプレスは手作り感があって日本車同クラスより親しみやすいし、所有感もあると思う。また今でも街で見掛けるVWビートルやTypeIIバス、カルマン・ギアなどは目で追うほどにずっと見ていたい。それらはポルシェ直系という凄いクルマ達なのに全然冷たくなく、逆に微笑ましく見えてしまうのはなぜだろうと不思議に思う。先日見かけたMGミジェットやルノー4もそんな気がする。残念ながら我がGMサターンはそんな風に名車入りはしそうもない... (^_^;
著者も本の中で言ってるが、下取り査定額を考えながら勤勉なセールスマンに脅迫され国産車を定期的に乗り替え続けるのは不健康だ。92年式マークIIが好きでずっと乗っていたくてもセールスマンは黙っていないし、ピカピカに磨いてあっても周りは「なぜ新型にしないのか」とうるさいだろう。国産車は最新か極端に古くないと肩身が狭いのだ。しかし輸入車に乗ってればこんなお節介もなく、どんなボロでも「きっと好きで乗ってるか、変わり者だ」と思って見てくれる。そもそも外車は形が大きく変わるフルチェンジが少ないので、2〜3世代前でも気が付かれないことが多いからだろう。
何だか長くなってしまったけど、著者がミステリーのベストセラー作家になったのもこれらクルマ話と無縁とは思えない。
ポルシェ911の誘惑 −目次− | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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投稿者 ami : 2005年11月09日 02:55